今週表題のシンポジウムが東京日比谷で有りました。
参加者は全国で地方創生に活躍するメンバーの皆さんから農業、再生可能エネルギー事業に詳しい市民団体の方、それにまつわる国や県の行政の方々まで多岐に渡ります。
ここでのメインテーマは、まさに「農山漁村の経営を豊かなものにするための手法」です。
日本の農業経営が難しい現状にある事は、昨今のニュースを見ていれば、何となくでも察しがつきます。
折しも今週TPPが合意に至りました。
これが今後の不安に一層の拍車をかけているのは、その中身がまだ良くわからないからでしょう。
今までも輸入は沢山あった海外からの農作物ですが、実は比較的高い関税で国内農業を守ってきた事も事実と思います。
そして今後その状況がどの様に変わり、日本国内における農業の有り方がどう変わって行くのか、その行方がかなり不透明になっているので不安は一層深まります。
そこで注目されるのが、農業経営への付加価値としての発電事業なのです。
実は農業だからこそ、今までそこにあった未使用のエネルギー資源が眠っていたとすれば、今こそそれを有効に使わない手は有りません。
その一つがその広い農地で得られる太陽光、風力、水力、バイオマス…等々です。
そもそも農地は大事な食糧を生産する貴重な土地です。
だからこそ大事に守られています。
しかし厳しい経営環境や、後継者不足によって休耕地となっている土地など特に山間地などに多く見受けられるようになり、その経営が立ち行かなくなれば元も子もありません。
一度荒れた土地は農地として取り戻す事も多くの労力が必要となってしまいます。
もしも、こうした土地が有効に使われないまま放置されるのであれば、そこは特例を設けても農家の経営を支える手法を検討する事は至って自然の流れかと思います。
しして今、大きくクローズアップされているのが、この再生可能エネルギー事業のと言う訳です。
そのやり方も色んな種類が有る中で、たとえば栽培する植物の育成にあまり影響を与えない程度で、畑の上部に太陽光パネルを設置、もちろん日陰にはなったとしても収穫に影響が無ければ、そこにはもっと取り出せた有効なエネルギーがあったと言う事になり、それを発電として使おうと言うのが「営農型ソーラーシェアリング」なのです。
また酪農や栽培で出る廃棄物をバイオマス発電の熱源にしたり、農業用水路には小型の水力発電、風が強い場所で有れば、漁業に差支えない範囲での洋上風力や山間風力とそのエネルギー源が都市部より豊富である事が解ります。
この様な大きな可能性をつ農地や山村漁村の有効活用の参考事例を各地から持ち寄った討論会は、私にとって目からうろこ、とても刺激的なパネルディスカッションとなりました。
次代が変わればテクノロジーやシステムがは変わるもの、その為に必要な施策は変化して当然。
そうでないと、担い手のない土地はどんどん荒廃して行ってしまいます。
FITにもいろんな議論は有りますが、大事なのはそこに再生可能エネルギーが眠っていると言う現実でしょう。
大きなケミカルに頼る時代こそ、既に淘汰されて行く…今回は改めてその潮流を感じて帰ってきました。
昔から日本は、田畑や山や海で取れたものを出来る限り再利用して、その廃材や牧などを暖炉や米炊きに使ってきました。
テクノロジーが進んだ今、それが貴重な電力として自然界から取り出せるのであれば、これこそまさにエネルギーの山村回帰、豊かな日本を取り戻せる絶好のチャンスになると思った次第です。
そして一番大事なのはその熱意を持った人のエネルギーですね。
改めてこのシンポジウムに参加させて頂き大変勉強に成りました。
ありがとうございました。